脳科学的に見て子供の英語学習はいつから 始めたら良いのか!?バイリンガルの見解

  • 2022年2月25日
  • 2022年2月25日
  • 育脳

私は日本生まれの日本育ちです。イギリス人と結婚して、現在イギリスに暮らし、子供を育てています。

 

日本のネットを見ていたある時、すごく面白いなと思いました。

英語教育を早くから始めた方がいいという意見と、早くから始めるべきではないという意見が、同じように存在していることが意外でした。

 

しかも、早くから始めるべきではないという意見の多くが、言語学者や英語教育の専門家から集まっている点に更に驚きました。

私は、というよりはイギリスでの常識的な感覚では、外国語の学習に興味があるのに小さい頃は蓋をしておいた方がいいという意見は、聞いたことがありません。

 

ネットで見ていてよく出てくるのは、

  1. 外国語を学ぶならよりスムーズに習得できる18歳までに始めるべし。
  2. 流暢になりたいのなら、10歳までに始めるべし。
  3. 外国語を上手に吸収できる能力のピークは3~4歳。

というもの。

 

とにかく早いほどいい、と言います。

 

  1. イギリスと日本の外国語取得の違い
  2. 日本人の英語学習の最適な時期
  3. 英語の早期教育による弊害

 

今回は、早期外国語教育に対するイギリスと日本の見解の違いについて、私見を述べたいと思います。

 

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学ぶ言語と遊ぶ言語

バイリンガール

こういった記事を見ているうちに、このテーマを論じるには、色んな側面を見ていかなければいけないことに気付かされました。

 

✔ 第二言語学習と外国語学習

✔ 遊び言語と教室言語、コミュニケーション言語と学習言語

✔ 臨界期

 

学習言語が使われている地域でその言語を学ぶこと。

外国語学習は、学習言語が使われていない地域でその言語を学ぶことです。

遊び言語と教室言語、コミュニケーション言語と学習言語は、日常会話能力と学習言語能力を区別する見方です。

 

言語をスムーズに習得できるのは一定の年齢まで(=臨界期)という仮説です。

早くから英語学習を始めない方がいいという意見。

 

その主な理由は、外国語を取得するよりもまずは母国語である日本語を確立するべきで、そうしないと日本語も影響を受けて読み書き能力がつかなくなるというものです。

学習言語能力が母国語で確立しないと、外国語を学んだ時に発音や日常会話はすぐに出来ても、外国語での学習言語能力は確立出来ない傾向にあるそうです。

 

一つ一つはよく理解できる気がします。

日本人が英語圏の国で英語を学ぶことと、日本で英語を学ぶことは状況がまるで異なります。

その二つを同様に論じることは出来ないと思います。

 

第二外国語を一生懸命勉強しても、母国語以上に発達することはないことも納得できます。

それゆえ、まずは母国語を確立してから第二言語教育を始めた方がいいという意見は理解できます。

 

早期英語教育が多く語られるようになった背景に、ここ10年前後で進められている日本の英語教育改革があるんですね。

 

今は私が英語を学んだ頃とは大分変わったようで、2011年に小学5・6年からの英語必修化、2020年に小学3年から外国語活動が始まり、音声指導に徹底し英会話にフォーカスして指導されているそうです。

 

あーーーその教育、受けたかったなー(笑)

 

日本で英語を学ぶことを考えると、個人的にはやっぱり早く始めた方がいいと思っています。

外国語活動として音声指導に集中しているのであれば、小学3年よりも早い方がいいのでは、とすら思います。

多言語環境は、脳を刺激するメリット

メリット

私たちの子供が産まれたとき、医師からもしかしたらこの子は学習能力に支障があるかもしれない、と可能性を示唆されたことがあります。

それを聞いて、子供の名前の漢字は複雑にしないようにしようとか、日本語と英語のバイリンガルは諦めようとか、色々なことを考えました。

 

バイリンガルにするかどうかの話を医師と看護婦に伝えた所、瞬発的に答えが返ってきました。

「それはむしろ逆です。どんどんバイリンガルな環境にして下さい。もし万が一本当に学習障害があった場合、バイリンガルにすることは脳を刺激して障害を緩和する助けになります。決して日本語で話しかけることを止めないでください、どんどん話しかけて下さい。」と。

予想外の答えに、驚きと少しの安堵を覚えたことをとても鮮明に覚えています。

 

バイリンガルは言葉が遅くなるとはよく言いますが、それは本当だと思います。

これはプロセスに時間がかかっているだけで、障害とは違います。

 

そのまま続けていって、言葉が始まったと思ったら、あるタイミングで雪だるま式にどちらの言語もうまく操り出します。

日本人が日本で英語を学ぶのはいつからがいいのか

日本人が日本で英語を学ぶのはいつからがいいの

早期英語教育が語られる際、日本での英語教育を前提としていることを考えると、母国語である日本語能力の確立を待つ必要はないように思います。

 

あくまでも家庭では日本語を使い、学校の授業は全て日本語で行われるワケで、日本語での生活が土台にあります。

 

そこに外国語として英語に触れるというなら、外国語をスムーズに吸収できる小さい子供の頃に始めるにこしたことはありません。

 

とにかく日本語の母音5つで頭が固まってしまう前に、英語の26の母音を自然に体が吸収してくれるうちに始めた方がいい。

発音や表現、語彙等に慣らしていくのに、日本語の発達や日本語での思考力確立の妨げにはなるとは考えにくいです。

 

学習言語は日本語にしたまま、遊び言語の英語を加えていけばいいのです。

そして日本語能力が安定した頃、本格的に文法を学んで英語の仕組み全体を覚えていくのです。

 

私は臨界期は確実にあると思っています。
私自身、大人になってからスペイン語を勉強しました。そしてスペイン語圏にも住みましたが、いくら冷静に丁寧に文法を理解して使いこなそうと思っていても、本当に限界がありました。

 

日本語にも英語にも存在しない文法は、頭で理解することすら苦労しました。

頭で理解できないことは当然使えないワケです。

 

発音や語彙の問題ではない、根本的な所でつまづいてしまいました。

言語は頭が柔らかいうちに始めるのが一番。

 

イギリスのママ友と以前、言語教育は乳幼児から始めた方がいいという話になったことがあります。

その子は、半分冗談ですが、中国語のラジオやCDをひたすら子供に聞かせて、中国語に対する耳を発達させておくんだと話していました。

 

言語教育とは言っても、あくまでも中国語を聞かせておくだけ。

イギリス人の本人は中国語とは全く無縁の人なので、語りかけることも不可能だけど、あくまでも耳を作るだけ。

 

でも、それで子供が大きくなって中国語を学んでみようかとなった時、耳に抵抗がないに違いないという、臨界期説ベースの話をしていました。

聞かせるだけなら簡単に出来ることだし、それは面白いと思って聞いていました。

 

因みに学習障害が懸念された我が子ですが、確かに言葉の発声は遅かったですが、言葉の理解は確実に出来ていることが見て分かり、その子なりに発音の規則性をもって我々の言うことをコピーしているので、それほど心配しなくても大丈夫かなと思えるようになってきました。

 

英語でも日本語でも同様にきちんと言われたことを理解しています。

口にする言葉も、英語と日本語入り混じって均等に覚えてきているようです。

 

学習障害に関してはまだクリアではありませんが、バイリンガルを諦めなくてよかったと思っています。

外国語学習による気になるリスクとは

一番リスクがあるとすれば、それは自分の基本言語がどちらか分からなくなるような環境のように思います。

思考言語がどれかを自分で決められていれば、それがその子の人格とアイデンティティにも繋がるように思います。

 

ただ、母国語が確立する前に別の国に移住して、また別言語中心の生活になり、家庭でも日本語と別言語が入り混じるようになり、本人の頭がどっちで思考したらいいか迷うような状況に陥るとしたら、それが学習能力全般にも影響するだろうし、情緒発達にも影響してしまうかもしれない。

 

それが言語学者の方々が指摘するリスクなのかなという気がします。

ただ、これには個人差があるような気もします。

 

 日本人の友人で、子供と共に海外を転々としている人がいます。

その子の子供は、日本を訪ねることはあっても、日本で生活したことはありません。

でも、行く先々でその子は見事に順応して現地の子供たちの輪に入って学んでいます。

成績も優秀で、本人がブレている様子もありません。

 

そういう人もいるのです。

 

一方で、そういう環境では、新しい居住地で思考が追いつかず馴染めないという人がいるのも確かだと思います。

まとめ

アイデンティティについてはまた別の話になりますが、

 

自分の子供もこれから成長して自分のアイデンティティを意識していくようになるのはまだまだ先なので、

 

今の環境で育って混乱が最低限に抑えられたらいいなと願っています。

 

日本生まれ日本育ちの私には、そこはどうしても共有してあげられない領域です。

いまはとりあえず日本語・英語に限らず、出来る言語教育の機会は作りたいなと思いながら、育児に追われる日々を送っています^^

 

ライター
イギリス在住の「愛梨」が執筆しました。

 

aya(管理人)
aya(管理人)
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!