現在、巷ではたくさんの教育法があふれており、
STEM教育や、モンテッソーリ教育などもあります。
今回はその中から「モンテッソーリ教育」について、教育内容やメリット・デメリットなどを検証していきます。
- モンテッソーリ教育とは?
- モンテッソーリ教育が合う子・合わない子
- モンテッソーリ教育のメリット・デメリット
モンテッソーリ教育とは
モンテッソーリ教育とは、今から100年以上前にマリア・モンテッソーリ博士が唱えた教育法のことです。
その一番の特徴としては、「子どもには、自分で自分を育てる力が備わっている」という考え方にあります。
これはモンテッソーリ博士自身が実際に子どもとの関わりを通して見出したものですが、
子どもがその力を十分に発揮し、子ども自身が自立への道を歩んでいくためには、
子どもの発達段階に合わせて大人が適切な環境を用意すること、
それにより子どもの自発的な学びを促すことができるというように教育をとらえています。
モンテッソーリ教育はヨーロッパで生まれましたが、現在は世界中でこの教育を受けられる機関があります。
日本では義務教育の中でモンテッソーリ教育のプログラムを受けるのは難しいため、未就学児の教育とされている場合が多いです。
モンテッソーリ教育が注目される5つのポイント
様々な教育法があふれる現代においても、モンテッソーリ教育が世界中で注目を浴びる理由はいくつかあります。
モンテッソーリ教育には、どのような特徴があるのでしょうか。
以下、そのポイントを解説します。
①子どもの発達段階に応じた教育法
モンテッソーリ教育は、創設者のマリア・モンテッソーリが子どもへの実践を通して確立されたものです。
0歳~6歳の乳幼児期の子どもの発達を段階的にとらえ、子どもの成長にとって最適な環境を用意しています。
②子どもが本来持っている力を伸ばすための環境整備
モンテッソーリ教育の根底にあるのは、「子どもは自分で自分を成長させる力を持っている」という考え方です。
一人一人が持つ才能を伸ばしていくための教育なので、一人一人の子どもに合った関わり方が研究されています。
なので、子どもをサポートする大人や教育者は、子供の成長を見守ることが重要視されます。
③受け身の教育ではなく、子どもが自発的に行動できる
モンテッソーリ教育の目的は、子どもが主体性を持ち、自分の力で生きていけるようになることです。
そのため親や先生に強制された課題を行うのではなく自分の頭を使って考えること、自らの行動に責任が伴うことなどを体験していくのです。
④異なる年齢の子どもと学び合えることで、社会性を伸ばす
モンテッソーリ教育では、同じ年齢の子どもだけの学びの場ではなく、年齢が違う子どもで編成されたクラスが用意されます。
そこで子どもたちは互いの豊かな個性を尊重し合ったり、
子どもたちの中で教える、教わるという関係を通して社会性を身につけていきます。
⑤手先の器用さ、柔軟な身体感覚が育まれる
モンテッソーリ教育では、子どもが自分で身体を動かすことで学習していく過程を大切にするため、
モンテッソーリ特有の「教具」を使用します。
子どもたちが身体を大きく使う遊び、手や指先を使った細やかな遊びを楽しむ中で、
感覚器官を発達させ、情緒面の成長や知的な能力を養っていくことを目指します。
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モンテッソーリ教育の内容
モンテッソーリ教育では、0歳~6歳までの時期を2つに分け、
それぞれの時期に応じた教育を受けられるように配慮されています。
教育の内容としては、
- 「日常生活」
- 「感覚」
- 「言語」
- 「算数」
- 「文化教育」
などの5分野に大きく分けて考えられています。
(0歳~3歳は7分野)以下、各時期の取り組み活動について解説します。
①0歳~3歳までの活動内容
この時期のことを、モンテッソーリ教育では「吸収する精神(無意識)」の時期と名付けています。
人の一生のうち、この0歳から3歳までが最も取り入れる力に優れ、他の年齢では獲得が難しいことも可能とされています。
粗大運動の活動
「粗大運動」とは、身体全体の大きな動きを使う運動です。
運動と言っても、モンテッソーリ教育の中では技術面を重視するのではなく、歩行などの人間生活の土台となる部分をさします。
赤ちゃんが少しずつ自ら身体を動かし、やがて歩くための活動を援助していきます。
微細運動の活動
「微細運動」とは、手や指先を使う活動です。
手先の器用さにもつながります。物をしっかり握ったり、つまんだりといった動きを行いながら、自ら行動するための基礎を養います。
日常生活の練習
上に挙げた「粗大運動」と「微細運動」を組み合わせた活動です。
毎日の生活において欠かせない動きを扱います。
一人の活動だけではなく、集団に関わっていくことで、社会環境に適応していく力をつけていきます。
洋服の着脱や、植物の水やりなどがあります。
言語教育
言葉は人間にとって自分の意思を表現したり、相手とコミュニケーションをとったりする際に必要となる、とても大切な道具です。
この時期は、実物にふれることで五感を刺激したり、絵カードや絵本などを使いながら子どもの話し言葉を増やしていきます。
感覚教育
モンテッソーリ教育では、「教具」と呼ばれる道具を使い、物の大小・長短などの概念的な感覚を養っていきます。
子ども自身が興味を持ち、たくさん教具に触って遊ぶことで様々なことに気づき、自然に豊かな感覚が育まれていきます。
音楽
音楽を聴くことで自然と身体が反応したり、自分から表現しようとする行為は、世界の文化に共通するものです。
色々な音を聴いたり、自分で楽器を鳴らしてみたり、音楽に合わせて踊るなど、自己表現ができる環境を作ります。
美術
創作活動は、子どもの五感を刺激し、発達にとって重要とされています。
子どもはクレヨンなどで描画を楽しんだり、粘土の感触を味わいます。
目で見ることと、手を使うことをうまくコントロールしながら子どもの自由な表現をうながしていきます。
②3歳~6歳までの活動内容
この時期になると、子どもは今まで意識せずに獲得してきた力を、
今度は自分の意思を持って整理したり、体系的に学ぶことができるようになります。
この段階に合わせた大人の関わり方は、以下の5分野に分類されています。
日常生活の練習
子どもは大人のすることをまねしたがります。
その発達段階を活かし、大人がやり方を正確に伝えれば、子どもは自らの力で動くことができるのです。
生活する上で必要な力を育み、自立への道を歩んでいく第一歩の活動となります。
ハサミなどの道具を扱ったり、部屋の掃除、洗濯など、活動を通して関わる世界を広げていきます。
感覚教育
子どもは3歳くらいになると、感覚を司る器官がほぼ完成されます。
それにより、色々な刺激に対して反応できるようになります。
この発達段階の子どもには、五感をしっかり使っていく練習が大切です。
「教具」と言われる道具にたくさん触れ、自分で操作することで、感覚が洗練され、知的な能力や情緒の発達にも影響を与えます。
言語教育
モンテッソーリ教育では、ことばの獲得に対して細かく段階を分け、自然にことばが身につけられる環境を用意しています。
まずは話しことばを拡大していき、文字を書いたり読んだりする活動へ無理なくつなげていきます。
算数教育
数の概念に関する基礎は、この時期の子どもにとって獲得しやすい分野です。
単純に数字を教えたり、数を順番に言っていくのではなく、
実際の「もの」を子ども自身で扱うことで数の本質をとらえることができるように工夫されています。
文化教育
文化教育とは、言葉や数の分野に限定せず、より総合的に幅広い概念を学んでいく分野です。
教具を用いた活動を通して世の中のことを広く知り、子どもの興味・関心の芽を育てていきます。
モンテッソーリ教育を受けた有名人(外国人)
実際にモンテッソーリ教育を受けて育った有名人は数多くいます。
日本人では、棋士の藤井聡太、卓球選手の平野美宇などがモンテッソーリ教育を取り入れた幼稚園に通っていたそうです。
海外の有名人では、Amazon.comの共同創設者ジェフ・ベゾスや、シンガーソングライターのテイラー・スウィフトなどが挙げられます。
モンテッソーリ教育の6つのデメリット
世界中で実践されているモンテッソーリ教育ですが、もちろん全ての子どもや、家庭環境に合うとは限りません。
以下に、モンテッソーリ教育の考えられるデメリットをあげてみます。
①協調性があまり育たない
一人一人の子どもの主体性を大切にしているモンテッソーリ教育。
自分がやりたいと感じたことを、自分のペースで好きなだけやってみるというのが基本的な考え方です。
そのため、みんなと同じものに同じだけ関わるという教育法ではありません。
自分の考えをきちんと持てる子どもは、とにかく周りと一緒にそろえる、という場面に対してとまどうこともあるかもしれません。
②運動量が足りない
モンテッソーリ教育は、主に屋内で活動することを軸としています。
そのため、アクティブに活動したい子どもには物足りないと感じることもあるかもしれません。
しかし、外遊びが全くない、という極端な教育方針ではないので、運動の足りなさを実感する保護者は多くはないようです。
自分の子どもにとって運動が足りていない、と感じるようであれば、
休日に親子でたくさん遊ぶ、身体を動かす習い事に行ってみる、などの工夫ができるでしょう。
③時間の区切りをつけることが難しい
子どもが興味のあるものに夢中になって取り組めるのがモンテッソーリ教育の良い所です。
逆に、時間に縛られることが少ない環境であるため、時間を意識して動く姿勢にはつながりにくい場合もあるでしょう。
④正式なモンテッソーリ教育を受けられる施設が少ない
モンテッソーリ教育は、資格を取得した教師が行う教育であることが前提となっているので、
それらを受けられる機関は日本ではあまり多くはありません。
また、幼稚園や保育園の教育方針により、教育のしかたに違いがある場合も考えられます。
モンテッソーリ教育を子どもに受けさせたいと思ったら、情報を集め、よく検討してみましょう。
⑤日本の教育システムとは異なる
日本の現在の教育システムだと、個に着目するというよりは、集団の中での協調性を重んじ、
同一のカリキュラムをこなしていく面がまだ大きいかもしれません。
モンテッソーリ教育を大学まで受けられる諸外国と違い、日本の義務教育にモンテッソーリ教育は組み込まれていないため、
小学校へ上がった後になじめず、とまどうこともあるかもしれません。
⑥一般的な幼稚園に比べると費用が高い
モンテッソーリ教育を行う幼稚園や保育園に子どもを通わせようとすると、一般的なところと比べて費用がかかります。
子どもの教育費は、就学後も長くかかっていくため、どの時期にどれくらいお金が必要なのか、家族の中で話し合っておくと安心です。
モンテッソーリ教育が合う子・合わない子の特徴
モンテッソーリ教育は、子どもの学びたい気持ちを尊重し、
主体性を持って自立の道を歩む人間を育成するのが大きな目標となります。
長年にわたって支持され続けている教育法ではありますが、子どもは一人一人違うもの。
必ずしも我が子に合っているとは言えません。
そこでモンテッソーリ教育はどのような子に合うのか、合わないのか、以下に考察します。
モンテッソーリ教育が合う子
基本的にはどのような子どもでも合うとされています。
モンテッソーリ教育で実践される課題に初めから興味を持って取り組める子どもはこの教育法が合っている、
とも考えられますが、逆に初めのうちはなかなか慣れない子どもでも、
自分のペースで自由に過ごす空間の中でだんだん成長していくことも多く、
この子どもが特に合う、というのはあまりないようです。
基本的にはどのような子どもでも合うとは言え、子供たち全員が合うというワケでもないようだよ。
モンテッソーリ教育が合わない子
①たくさんの友達と一緒に遊ぶ方が好きな子
モンテッソーリ教育は、一人一人の個を尊重する教育法のため、自分の好きなことを好きなだけつきつめる素晴らしさがありますが、
集団の中で同じ動きをすることでグループの一体感を感じることができる子どもには、個人がそれぞれ自由に遊ぶ感じに不満を持つかもしれません。
②他の人から指示されて動く方が好きな子
人には色々なタイプがあるので、自分の意見を表現できる子どもが、社会生活で必ずしも優秀であるとは限りません。
相手の意見を尊重しながら動く子どもの場合、モンテッソーリ教育はつらいと感じることがあるかもしれません。
まとめ
モンテッソーリ教育は、長年研究され、世界中で行われている教育法です。
その教育目標に魅力を感じる場合は、情報を集めながらモンテッソーリ教育を体験する機会を持つのもよいでしょう。
一方で日本の教育とは異なる部分も多く、自分の子どもに受けさせようと思ったら、
メリットやデメリットを改めて比較しながら検討してみてください。
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成長に合わせたおもちゃを選ぶのって、なかなか大変ですよね。良かれと思って選んでも、全然興味を示さない...なんてことになったら悲しいです^^; また、親目線で選ぶとその子の「[…]
ライター
3人の子持ちママ「yuko」が執筆しました。