STEM教育はアメリカで考案された、これからのグローバル社会を生き抜く子どもたちに必要とされている注目度の高い教育スタイルです。
- STEM教育とは?
- STEM教育が注目されている理由
- 日本と海外のSTEM教育の現状
- STEM教育おもちゃを年齢別に紹介
☑おすすめのSTEAM教材
世界各国で導入されているSTEM(ステム)教育とは?
そもそも「STEM」というのは、1990年代頃からアメリカで考案され、世界に広がっていった教育方法であるとされています。
以下の4つの分野に着目し、それらに特化した教育プログラムであると言えるでしょう。
- 「Science(科学)」
- 「Technology(技術)」
- 「Engineering(工学)」
- 「Math(数学)」
この分野に即したいわゆる科学技術の発展は、これからの国際社会にとってとても重要な課題であると考えられており、地球の未来を担う子どもたちに必要なスキルとして注目されているのです。
STEAM(スティーム)教育との違い
STEM教育が注目される一方で、STEAM教育というモデルもあります。
これはSTEM教育に「Art(アート)」を加えたものです。
従来のSTEM教育は、科学技術分野である4領域の知識を深め、それらを活用していく学習法でした。
一方STEAM教育ではアートが加わることによって、よりプログラムの柔軟性が高まり、子ども一人一人が持つ豊かな創造力をもとに新しいアイデアを生み出すことを目標としています。
まさに新時代に必要な力の育成に向けた教育といえるでしょう。
いまナゼSTEM(ステム)教育が注目されているの?
アメリカではSTEMは単なる一教育法ではなく、国家をあげて取り組むことで科学技術分野に優れた人材育成に励んでいます。
その理由をいくつか考えてみます。
①今後の世界経済を担う人材を育てるため
これからの経済は、いわゆる「第4次産業革命」に入っていくと考えられてきます。
それはロボットや人工知能(AI)がより複雑化していく時代です。
それらが発達すると、単純労働が自動化されるだけではなく、より個に応じたサービスを提供していくという技術の革新につながっていきます。
このような未来を見据えているため、科学技術分野に通じる人材育成は国の重要な課題になります。
②これからのAI時代を生きていくために必要な思考力を育てるため
上記のように経済が変化していくと、私たちのライフスタイルにも大きな影響が考えられます。
単純作業や、ある程度見通しの立つ課題は機械化されていくため、これからのビジネスパーソンに求められる力は「答えのない課題に取り組める柔軟な思考力」とも言えるのではないでしょうか。
その思考力を育むためには、STEM教育に取り入れられている「機能や構造を把握する力」「論理的に考える力」「他者と協働して課題を克服する力」などが必要です。
STEM教育では実践を通して学ぶことを重視しており、未知の課題をグループで検討し、話し合いながらトライしていくスキルを養います。
③より「個人」の主体性に着目しているため
経済や科学技術の発展が進むと、「みんな同じ」「同質のものに価値がある」という考え方から、多様性を受け入れていく社会へと変化していきます。
人ひとりひとりの考えが尊重されるということは、逆を言えば自分の意見をしっかりと持ち、それを他者に的確に伝える力が重要になっていくのです。
STEAM教育は科学技術分野の専門的な知識を養うだけでなく、それらのコミュニケーションスキルまで幅広くカバーするメソッドになります。
STEAM教育!海外の現状
日本に少しずつ浸透しはじめたSTEAM教育ですが、実は海外ではすでに注目され、積極的な取り組みが行われています。
世界経済をリードし続けるアメリカが初めにSTEAM教育を導入すると、各国がこぞって採用し、その国独自のシステムを作っていきました。
教育方針を日本と比べてみると、子どもたちが課題に対して受け身ではなく、より能動的に関わるスタイルが一般的となっています。
日本のSTEAM教育が遅れている理由
世界各国でまたたく間に導入されていったSTEAM教育ですが、日本の教育現場にはまだ十分に認知されていないようです。
その理由を解説します。
日本の従来の教育法との差が大きい
今まで日本で行われてきた授業はいわゆる「講義型」とも呼ばれ、子どもたちはまず先生から教わることが前提でした。
課題を解決するために、「正しい」と言われる方法を学習して身につけていく受け身の教育が一般的だったのです。
しかしSTEAM教育は、子どもが積極的に課題に向き合い、周りの友だちと対話をすることで解決を導こうとする能動型のシステムであり、昔から受け継がれてきた教育と大きなギャップが生じます。
そのため、なかなか教育現場に広がりにくいことが考えられます。
IT環境の整備が遅れている
STEAM教育を行うにあたり、IT環境が整備されていることはとても重要です。
しかし日本の学校現場では、ネットワーク環境はまだ十分とは言えません。
いちはやくIT環境を教育に導入したアメリカなどと比べてみると、日本はなんと10年以上も遅れていると言われているのです。
これがSTEAM教育を推進しようとする際に、大きな課題となっています。
STEAM教育を教えられる教員が少ない
日本が今まで採用してきた教育方針とSTEAM教育は異なる部分が多く、対応できる教員が数少ないのが現状です。
今後、STEAM教育を深く理解し、それを子どもたちに伝えていくためのカリキュラムが教員養成課程でますます必要になっていくでしょう。
乳幼児のSTEM・STEAM教育の現状
新しい世界に興味津々の乳幼児は、おもちゃを通してSTEAM教育のねらいである「自然科学への興味」「課題解決スキル」「創造性」などを学んでいきます。
科学技術分野と言うと苦手意識がある大人も多いかもしれませんが、小さい頃からそれらに親しみ、遊びとして取り入れていくことができれば、無理なくスキルを獲得できると考えられています。
STEM・STEAM教育おもちゃを年齢別に厳選!
ここでは、乳幼児や小学生が遊びながら自然にSTEM・STEAM教育を身につけられるおもちゃを、年齢別に紹介していきます。
0歳~3歳におすすめ!STEM・STEAM教育おもちゃ&絵本3選
学研ニューブロック
手になじみ、やわらかくて安全性の高いプラスチック製のブロックを組み合わせて遊びます。
一般的なブロックと比べて組み立てが簡単で、子どもの初めてのSTEAM教育おもちゃとしてもおすすめです。
Tegu(テグ)マグネットブロック
シンプルな積み木を使って遊べるおもちゃです。
木でできたブロックはマグネットが入っているため、まだ上手に積み木を積めない幼児でも様々な形を作ることができます。
子どもの創意工夫する力を高め、主体的に問題を解決していく土台を作っていきます。
絵本『〇△□のくにのおうさま』
お話の中に、たくさんの図形が出てくる絵本です。
カラフルで目をひく魅力的なイラストとともに、楽しみながら形について興味を持ち、考えながら読み進めていくことができます。
☑こちらの絵本は以下で読むことができます。
3歳~6歳におすすめ!STEM・STEAM教育おもちゃ3選
プリモトイズ キュベット プレイセット
3歳の幼児でも楽しみながらプログラミングを体験することができるおもちゃです。
子どもがブロックを選んでコントロールボードにセットすると、木製ロボットがそのコーディングを読み取って動きます。
シンプルながら奥の深いゲームです。
くもん出版 ぴたっとめいろ
子どもが自由に迷路を作って遊ぶおもちゃです。
やり方はマグネットボードにめいろ用パーツをくっつけるだけの簡単な操作ですが、子どもの豊かな発想で様々な迷路が作成可能です。
自分で考え、工夫しながら創造力を育みます。
ハッピーキューブ
ベルギー生まれのパズルで、フレームから取りはずしたパーツを使って、立体キューブを作っていきます。
色ごとにレベルが異なるため、子どもから大人まで遊ぶことができます。
コンパクトなのでどこでも持ち運べる手軽さがいいですね。
また、子どもののどを通らないサイズ仕様で安全性にも配慮されています。
小学生向けのSTEM・STEAM教育おもちゃ!おすすめ3選
Sillbird ソーラーロボットキッズ
12種類のロボットを組み立てられるキットです。
レベルが入門と上級に分かれているので、初めてロボットを組み立てる子どもにもおすすめです。
このキットは、ソーラーパネルが付いているのでバッテリーもいらず、手軽に始めることができます。
ラキュー(LaQ)
小学生にとても人気のあるパズルです。
7種類の基本パーツをつなげていくことで、様々な形を作ることができます。
子どもの工夫により、平面も立体も作成することが可能で、創造性や集中力、数学的思考や論理的思考の向上が期待できます。
Sphero Mini ロボティックボール
アプリを使い、それぞれ難易度の異なる3種類のプログラミングによりコーディングを学び、小さいボールを操作します。
プログラミングを楽しく学べます。
プログラミングの他にも色々なモードやゲームが楽しめ、アイデア次第で遊びが広がります。
まとめ
子どもが科学技術分野に興味を広げ、豊かな創造力をもとに問題解決に取り組んでいけるよう、小さい頃から楽しく学んでいきたいですね。
ライター
イギリス在住の「愛梨」が執筆しました。